第1段階教習項目11(追い越し)の勉強ポイント
第1段階教習項目11(追い越し)の勉強ポイント
第一段階の学科教習の中でもこの「追い越し」に関する内容は非常にボリュームが多く、分かりにくい部分ばかりなので苦手としている方が多いのではないでしょうか。さらに仮免学科試験や本免学科試験でもよく出題される部分になるので、何とか攻略したいところですよね。今回は追い越しの中でも「追い越しを禁止する場所」にピックアップして説明していきますので、学科試験対策の参考にしてください。
まずは追い越しを理解するのに知っておかなければならないことが「追い越し」と「追い抜き」の違いになります。この2つの単語をパッと聞くと全く同じ意味のように聞こえますが、交通ルール上では少し意味が異なってきます。
追い越しとは、「車が進路を変えて、進行中の前の車の前方に出ること」を言います。それに対して、追い抜きは「車が進路を変えないで、進行中の車の前方に出ること」を言います。追い越しと追い抜きの違いは車の前に出る時に「進路を変えるか変えないか」の違いになります。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、追い越しの方は前の車と同じ車線を走っている状態で、前に出るために進路を変えて避ける必要がありますが、追い越しの方は前の車と別の車線を走っている状態で、前に出るために進路を変える必要はなく、ただスピードを上げて抜き去っていくだけということです。
ポイントは追い越しの方が追い抜きに比べて運転操作が難しくなるのと、周りの車を巻き込む可能性があるので危険ということですね。なので、交通ルールでは追い越しに関して禁止されていることがとても多いのが特徴です。
今度は追い越しを禁止する場所について見ていきましょう。まずは最初の出だしの文章になりますが、ここが意外と重要です。
車は、つぎの場所では、自動車や原動機付自転車を追い越すため進路を変えたり、その横を通り過ぎたりしてはいけません。
この文章のポイントは「車は」と「自動車や原動機付自転車を」の部分になります。普通に考えると「車は、つぎの場所では、車を追い越すため・・・」となりそうですが、あえて「自動車や原動機付自転車を」としてあるのには理由があるんですね。
まずは「車」という乗り物にはどんな乗り物が含まれているかがポイントになります。一般的には「車」というと普通車やトラック、バスなどをイメージすると思いますが、学科教本に出てくる「車」という言葉にはもっとたくさんの乗り物を含んでいます。上の図を見てください。
まず「車」というのは「タイヤ」が付いている乗り物を全て含みます。したがって、オートバイや原付、自転車も車に含まれます。そして、その車を大きく分けると「自動車」、「原動機付自転車(原付)」、「軽車両」に分けることができます。
「自動車」は車の中でもエンジンの付いた車になり、普通車やトラック、バス、オートバイなどが自動車に含まれます。ただし、原付はエンジンが付いていますが自動車には含まれません。「軽車両」は自動車の反対でエンジンの付いていない車になります。軽車両というとあまり聞きなれないですが、自転車やリアカー、人力車などが含まれます。
これで謎が解けたと思いますが、先程の出だしの文章では軽車両が抜けていましたよね。したがって、まとめると追い越しを禁止する場所であっても、自転車などの軽車両は追い越すことができるということになります。
では、なぜ自転車などの軽車両は追い越してもOKなのか?学科教本にはその理由までは書かれていませんが、おそらく自転車などの軽車両は速度が極端に遅いからだと思います。自転車が追い越せないとなると、完全に交通の邪魔になりそうですよね。
それでは、ここからが本題になりますが、追い越しを禁止する場所です。その場所は全部で8か所になります。
① 標識により追い越しが禁止されている場所
この標識についてはちょっと注意点があります。上の標識が追い越し禁止の標識になりますが、本標識の下に「追い越し禁止」という補助標識が付いているのがポイントです。この「追い越し禁止」という補助標識が付いているかいないかで微妙に意味が変わってきます。
では、上の本標識のように「追い越し禁止」という補助標識が付いていないとどういう意味になるのか。それは「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」という標識に変わります。この標識は追い越し自体が禁止になっている訳ではなく、前の車を追い越す時にセンターライン(中央線)をはみ出して追い越しすることを禁止した標識になります。
この標識は交通量の多い道路などによく設置されていますが、あくまでもセンターラインをはみ出して追い越しすることを禁止していますので、反対解釈としてセンターラインをはみ出さなければ追い越しはできるということになります。
それに対して、本標識の下に「追い越し禁止」という補助標識が付いていると、センターラインをはみ出すはみ出さない関係なく、追い越し自体ができないという意味になります。この二つの標識は非常に違いが分かりにくいので、気を付けてください。
② 道路のまがりかど付近
まがりかどは追い越しにくい、見通しが悪いといった理由で追い越しが禁止になっていますが、住宅街などにまがりかどが多くあります。所内コースでいうとクランクコースがまがりかどになりますが、まがりかどは曲がるだけでも大変ですよね。
③ 上り坂の頂上付近
先程のまがりかどとよく似ていますが、上り坂の頂上付近も見通しが悪く危険な場所になります。ここのポイントは「頂上付近」となっている所になります。よく引っ掛け問題で「上り坂の途中」と出題されることがありますので注意してください。
④ こう配の急な下り坂
「こう配」という言葉が分かりにくいですが、こう配は坂道の傾きになります。どのくらいがこう配の急な下り坂になるかというと、一般的に傾斜の度合いが10%(100mにつき10m下がる)以上の下り坂を言います。イメージがつきにくいと思いますが、所内コースの坂道コースくらいだと思ってください。急な下り坂は、追い越す時に重力でかなりのスピードが出てしまうので危険ですよね。
⑤ トンネル(車両通行帯がある場合を除きます)
トンネルの中は暗い、狭いといった理由で追い越しが禁止になっていますが、ポイントは「車両通行帯がある場合を除きます」という部分。これは同一方向に車線が2車線以上ある状態を意味していますが、反対に車両通行帯がない道路というのは同一方向に車線が1つしかない状態を意味しています。特に車両通行帯がない道路(同一方向に車線が1つしかない状態)だと、前を追い越す時にセンターラインをはみ出して追い越しこともあるのでとても危険ですよね。
⑥ 交差点と、その手前から30メートル以内の場所(優先道路を通行している場合を除きます)
交差点は、交差する道路から車が入ってくるので追い越しするには危険ですよね。でも、ここでもポイントはやはり「優先道路を通行している場合を除きます」の部分になります。「優先道路」という単語は他の学科教習でもよく出てきますよね。これは信号機の付いていない交差点での優先関係になります。
例えば、上の図のように信号機が付いていない交差点ではセンターライン(中央線)の引かれ方でどちらの道路が優先か分かるようになっています。今回だと横の道路の方がセンターラインが交差点の中まで途切れず引かれていますよね。今回だと横の道路が優先道路になります。優先道路ではない縦の道路の車は横の道路の車に道を譲らなければなりません。優先道路の交差点だと、交差する道路の車が入ってくることはないので安全に追い越しできるからということなんですね。
あと、何気に「30メートル以内」という言葉もポイントです。この後の踏切や横断歩道も30メートル以内となっています。距離感が分かりにくいかもしれませんが、交差点を右左折する時の合図のタイミングと同じですよね。
⑦ 踏切とその手前から30メートル以内
踏切は一歩間違うと大事故になりかねないというのと、踏切を通過する時には一時停止が必要なので追い越しは難しく危なそうですよね。マナーの悪いドライバーをよく見掛けますが、さすがに踏切で追い越している車は見たことないですね。
⑧ 横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30メートル以内の場所(横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30m以内の場所では、追い抜きも禁止されています)
横断歩道は言うまでもなく歩行者が渡っていたりしますよね。しかも、前の車を追い越す際に前の車で前方が見にくくなるので、横断歩道を横断している歩行者を見落とす危険もあります。ここでのポイントは「横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30m以内の場所では、追い抜きも禁止されています」という部分になります。
今までの①~⑦の場所は追い越し禁止となっていましたが、実は追い抜きについては禁止になっていないんですね。今回の⑧だけが追い越し・追い抜き両方とも禁止になっているというのがポイントになります。
では、なぜ⑧だけ追い抜きも禁止になっているのか?これも学科教本にその理由は書かれていませんが、おそらく⑧は人身事故に直結してします危険な場所だからだと思います。
今回は追い越し禁止場所について説明していきましたが、禁止場所が8か所もあってかなり覚えづらいですよね。オススメの覚え方は語呂合わせです。インターネットで調べると色んな面白い覚え方がありますので、そういったのを是非活用してみてください。
【追い越し禁止場所の語呂合わせ】
マ・・・曲がり角付近
コ・・・こう配の急な下り坂
ト・・・トンネル
ノ・・・上り坂の頂上付近
免許30日・・・30メートル
コ・・・交差点
オ・・・横断歩道や自転車横断帯
フ・・・踏切