自動車学校の指導員はなんで嫌味な人が多いの?
自動車学校の指導員はなんで嫌味な人が多いの?
自動車学校に通い始めた時に、「自動車学校の指導員はなんで嫌味な人が多いのかな~」と疑問に思った方は多いのではないでしょうか。SNSやインターネットの口コミにも「指導員がウザい」「感じ悪い」「口うるさい」など自動車学校の指導員に対する批判はとても多いですよね。
私自身は13年自動車学校の指導員をやっていましたが、私がいた自動車学校でも指導員と教習生とのトラブルや教習生からのクレームはやはり多かったですね。では、自動車学校の指導員はそもそもなんで嫌味な人が多いのでしょうか。
今回はその根本的な原因を一緒に考えてみましょう。私が考える自動車学校の指導員に嫌味な人が多い理由は次の3つだと思います。
① 第二次ベビーブーム
② 指導員になる動機
③ 教習のマンネリ化
【第二次ベビーブーム】
ベビーブームという言葉を初めて聞いたという方もいるかもしれませんが、赤ちゃんの出生が一時的に急増することをベビーブームといい、日本では第二次世界大戦後、二回のベビーブームがありました。
第一次ベビーブームは1947年から1949年、第二次ベビーブームは1971年から1974年になります。第一次ベビーブーム世代は「団塊世代」、第二次ベビーブーム世代は「団塊ジュニア」と呼ばれていますが、団塊世代というのはよく聞く言葉ですよね。
第二次ベビーブームと指導員に嫌味な人が多いとどんな関係があるの?と思ったかもしれませんが、この第二次ベビーブームの時代は自動車学校業界も入校生が急増して金銭的にとても潤っていた時代と言われています。自動車学校業界のバブル時代といった感じですね。その第二次ベビーブームを知る先輩指導員から、その当時は自動車学校から支払われる給料も相当羽振りが良かったと言っていました。
第二次ベビーブーム時代の自動車学校は入校の申込も次から次へと入ってくるので、自動車学校側も相当あぐらをかいていたと思います。そうなると、そこで働く指導員達も教習がお役所仕事になって、横柄な態度の指導員が出てくるのも当然の流れですよね。
現在は少子化の影響で自動車学校も教習生の確保に必死なので、そういった横柄な指導員も随分減ったと思います。しかし、第二次ベビーブームを知る指導員の中には、その時代から未だに抜けきれずにいるベテラン指導員達がまだまだいます。
私が働いていた自動車学校においても、そういったベテラン指導員が教習生とトラブルを起こし、自動車学校を辞めざるを得ない状況となった指導員達を何人も見てきました。全てのベテラン指導員がそういった横柄な態度の指導員とは言いませんが、時代の大きな変化についていけない指導員達まだまだいるのは確かだと思います。
【指導員になる動機】
みなさんは、自動車学校の指導員になりたいと思ったことはあるでしょうか。実際に自動車学校の指導員をやっている人も、指導員になったきっかけや動機は様々です。元自衛官、元自動車整備士、元バス運転手、元トラック運転手と、車の運転にそれなりの自信があって自動車学校の指導員になったという人が割と多いと思います。
よくある話ですが、一流のスポーツ選手だった人が現役引退後にコーチや監督をやってみても、上手くいく人といかない人とがありますよね。何にでも言えることですが、自分でやるのと教えるのでは全く別物ですよね。自動車学校の指導員も同じで、車の運転が上手いからといって運転を教えるのも上手いとは限らないです。
また、「運転に自信を持っている」というのもとても厄介で、そういった運転に自信がある人は運転が苦手な人の気持ちもなかなか理解できないんですよね。「なんでそんなこともできないの?」と指導員がよく言うセリフもそういった所からきているんだと思います。
それから、指導員には車の運転が好きな人は多いけど、運転を教えることが好きという人は結構少ないと思います。例えば、物を教えるという状況でも色んな関係性がありますよね。師匠と弟子、教師と生徒、親と子ども。自動車学校の指導員というのはプライドが高い人も多いので、「師匠と弟子」という感覚で教習を行っている指導員も多いと思います。
師匠と弟子という関係だと、師匠は弟子に対して手取り足取り教えたりはせず、接し方もとても厳しいですよね。でも、弟子は師匠の技術を教わりたいという強い気持ちで弟子入りしているので、そういった関係性でも成り立ちます。でも、自動車学校に通う教習生は決して免許を取りたいと強い気持ちで来ている人ばかりではないですよね。そういった互いの気持ちのズレも、指導員と教習生が上手くいかない原因の1つだと思います。
【仕事のマンネリ化】
何の仕事でも言えることですが、毎日同じ仕事としているとその仕事に飽きてしまって段々とやる気がなくなってしまいますよね。私も自動車学校に入社して間もない頃は「教習生から尊敬されるような立派な指導員になりたい!」とやる気に満ち溢れていましたが、何十年と指導員として働き続けてうちにいつの間にその初心を忘れてしまっていました。
自動車学校で長年働く指導員達も、自動車学校に入社した頃は誰もが指導員という仕事に誇りを持ち、熱い気持ちで教習に臨んでいたと思います。しかしながら、毎日同じ仕事を繰り返していくと、段々と入社当時の新鮮な気持ちを忘れてしまって惰性だけで仕事をしがちになってしまうと思います。
また、仕事がマンネリ化しやすい要因として、自動車学校の教習方法にも関係があると思います。自動車学校の教習というのは公安委員会が定めた規則の中で、一定のカリキュラムを実施することしか出来ない決まりとなっています。そこには自動車学校が自由に教習方法を決める余地など全くないんですね。
したがって、どの自動車学校で教習を受けても、ほとんど同じような教習を受けることになるのはそのためです。もちろん全国統一された教習は良い面もありますが、自動車学校で働く指導員にとっては何の面白みもなくやる気を失わせてしまう要因になってしまうんですね。
それから、指導員の仕事の幅の少なさもマンネリ化になりやすい要因だと思います。指導員の仕事は基本的には技能教習、学科教習、検定業務、高齢者講習などの講習くらいしかありません。入社して10年くらい働けば一通りの仕事はこなせるようになってしまうので、新しい仕事を覚えていく楽しさややりがいがないのもマンネリ化しやすい要因だと思います。
最後になりますが、どんな理由や事情があったとしても仕事に手を抜いたり、教習生をいじめるような言動をすることは許されません。ただ、なぜ自動車学校の指導員のそういった根深い部分が分かると、教習中の指導員の見え方も少し変わってくるかもしれませんね。
【関連記事】