専用通行帯と優先通行帯って何が違うの?

専用通行帯と優先通行帯って何が違うの?

第一段階の学科教習において、この「専用通行帯指定道路」と「優先通行帯指定道路」の内容が出てきますよね。仮免学科試験や本免学科試験においても必ずと言っていい程、出題される内容になります。この2つの違いが複雑でいまいち分かりにくいので、苦手としている方も多いと思います。今回は専用通行帯指定道路と優先通行帯指定道路について詳しく説明していきますので、学科試験対策の参考にしてください。

まずはざっくりとした覚え方ですが、身近な乗り物の電車で考えるとイメージしやすいです。よく電車に「女性専用車両」や「優先席」がありますよね?それとだいたい同じ仕組みになっていますね。

女性専用車両については、基本的には女性の人しか乗車することはできないですよね。でも、男性の人も例外的に乗車できる場合があります。鉄道会社によって多少の違いはありますが、小学生以下のお客さんや身体の不自由なお客さんとその介護者は男性であっても乗車することができます。

優先席については、女性専用車両ほど明確なルールは決まっていませんが、一般的には身障者の方や年配の方、妊婦の方がいたら席を譲るという感じですよね。反対に車両が空いていて、席を譲る必要な人が近くにいない場合は、健常者の方でも優先席を座ったりしますよね。まずは、そういった身近なことに例えてイメージを固めていくとス~っと頭に入ったりします

それでは、まずはそもそも「専用通行帯指定道路」と「優先通行帯指定道路」があるのか?この2つは特に路線バスが対象になっていますが、路線バスは電車と違って一般車両と同じ道路を走っていますのでどうしても渋滞に巻き込まれやすいですよね。なので、少しでも路線バスが時間通りに走れるように配慮したルールになります。

次は標識のパターンから見ていきましょう。専用通行帯に関しては「自転車の専用通行帯」や「バスの専用通行帯」、「路線バスと自動二輪車の専用通行帯」と言った感じで色んなパターンがありますが、優先通行帯に関しては「バスの優先通行帯」しかありません。

学科試験で特に問われてくるのが、バスのイラストが描かれているバスの専用通行帯と優先通行帯になります。ちょっと細かい話になりますが、このバスの専用通行帯と優先通行帯はその対象となるバスはかなり幅広く指しています。

路線バスだけでなく、保育園や幼稚園などの通園バスや高校や大学などのスクールバス、あとは企業などによくある送迎バスもこのバスのイラストに含まれてきます。ただし、実際に街中で使われている標識を見ると、標識の下に「路線バス」の補助標識があってその対象の車種が指定されている場合が多いです。

ただし、学科試験で出題される標識や問題には「路線バス」という補助標識は付いていないので、路線バスや通園バス、スクールバスなどもその対象になっていると覚えましょう。

それでは、まずは「専用通行帯指定道路」の文章を見ていきましょう。

標識や標示によって専用通行帯が指定されている道路では、指定された車と小型特殊自動車、原動機付自転車および軽車両を除く他の車は、その通行帯を通行してはいけません。

しかし、つぎのような場合は、専用通行帯を通行することができます。

① 右左折するため道路の右端や中央、左端に寄る場合など
② 工事などでやむを得ない場合
③ 緊急自動車に進路をゆずる場合

この文章のポイントは最初の文章が原則のルールで、「しかし・・」の後の文章が例外のルールになります。原則のルールとしては、専用通行帯をいつでも通行して良い乗り物が4つ出てきています。

「指定された車」、「小型特殊自動車」、「原動機付自転車」、「軽車両」。指定された車は先程も説明しましたが、専用通行帯の標識の下に「路線バス」という補助標識があれば、路線バスになりますが、補助標識がなければ路線バスや通園バス、スクールバス、送迎バスなどになります。

残りの3つで、原動機付自転車は分かると思いますが、小型特殊自動車や軽車両がピンとこない人もいると思います。小型特殊自動車は、農作業で使うようなトラクターをイメージすると分かりやすいですね。軽車両は自転車やリヤカー、人力車などになります。

では、この3つの乗り物(小型特殊自動車・原動機付自転車・軽車両)はなぜ専用通行帯を通行しても良いのか?その理由はスピードになります。原動機付自転車の法定速度は時速30km、小型特殊自動車は構造上出せる速度が時速15km、自転車はだいたい時速15kmになります。

その他の車の法定速度は時速60kmとなっているので、圧倒的に速度が遅いですよね。したがって、車線がたくさんある道路でも、この3つの乗り物は速度が遅いので、やむを得ない場合以外は、一番左の車線を通行しなければならないことになっているんですね。

では、この専用通行帯の車線は実際どこの位置に配置されているか。みなさんも路線バスに乗った経験があると思いますが、大抵歩道にバス停がありますよね。なので、一番左の車線がこの専用通行帯となっている場合がほとんどなんですね。この3つの乗り物が専用通行帯を走っちゃいけないとしてしまうと、自転車や原付が大通りの真ん中を走らなきゃいけないことになっちゃいますよね。そういった理由があるんです。

次に「しかし・・」の後の文章が例外のルールを見ていきましょう。原則のルールでは「指定された車」、「小型特殊自動車」、「原動機付自転車」、「軽車両」以外の車は専用通行帯を通行することができないことになっています。ただし、この4つの乗り物以外の車でも専用通行帯を通行しても良い場合が3つ書かれています。

①は、右左折するため道路の右端や中央、左端に寄る場合など。例えば、車線がたくさんある道路だと「進行方向別通行区分」といって、道路に矢印の標示が描かれていてその矢印の方向にしか進めないルールとなっています。例えば、信号交差点を左折したい時は大抵、一番左の車線じゃないと左折できないことが多いですが、その時に一番左の車線が専用通行帯になっていると困ってしまいますよね。

②③に関しては説明するまでもないと思いますが、ざっくりというとやむを得ない状況になりますよね。このように原則のルールとしては専用通行帯を通行して良い乗り物が4つ(指定された車、小型特殊自動車、原動機付自転車、軽車両)あるのと、その4つ以外の乗り物でも例外のルールとして通行できるパターンが3つあるといった具合になります。

今度は「優先通行帯指定道路」の文章を見ていきましょう。

標識や標示によって路線バス等優先通行帯が指定されている道路では、路線バスなど以外の自動車も、その通行帯を通行することができます。
しかし、右左折するため道路の右端や中央、左端に寄る場合などや工事などでやむを得ない場合以外は、つぎのようにしなければなりません。

① 路線バス等優先通行帯を通行中に路線バスなどが近づいてきたときは、すみやかにそこから出なければなりません。
② 交通が混雑していて、路線バスなどが近づいてきても路線バス等優先通行帯から出られなくなるおそれがあるときは、はじめからその通行帯を通行してはいけません。

今回の文章も最初の文章が原則のルールで、「しかし・・」の後が例外のルールになります。原則のルールの部分はパッと読むと意味が分かりにくいですが、これは要するに「優先通行帯はどんな車でも通行できます」という意味になります。

そして、例外のルールの部分は電車の優先席で考えるとイメージしやすいです。①は例えば、みなさんが優先席に座っていて、お年寄りが電車に乗り込んできた状況で、そのお年寄りのために優先席を空けるといった感じです。

② の方は、電車内が身動き取れないほど乗客で混んできたけど、優先席が空いている状態。そういう場合に優先席に座ってしまうと、お年寄りなどが来た場合に身動きがとりづらく譲りにくくなりますよね。

ただし、注意して欲しいのは①や②の状況でも「専用通行帯」の時に説明したような3つの乗り物(小型特殊自動車・原動機付自転車・軽車両)は優先通行帯から出る必要はありません。また、3つの乗り物以外の車も右左折する場合や工事などの場合はやはり優先通行帯を出る必要はありません。

今回は「専用通行帯指定道路」と「優先通行帯指定道路」について説明していきましたが、非常に複雑で分かりにくいですよね。最初にも言いましたが、身近な物でイメージすると覚えやすかったりしますので、是非みなさんなりに工夫してマスターしてみてください。

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